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汚染物質の襲来
汚染物質の襲来
冬の静かなたたずまいをみせる伊南川。専門家は酸性の雪の影響を指摘する=南会津町 
第1部 熱くなるふる里

(8)南会津に降る酸性雪 //化石燃料の燃焼が一因//  (08.01.10)
 只見川の支流の伊南川は静かな冬を迎えている。4月の雪解けとともにイワナやヤマメなどを求めた釣り客が県内外から訪れる清流だが、ここにも地球温暖化との関係が疑われる現象が見え始めている。
 酸性雨ならぬ酸性雪が降っているという。県内の酸性雨を調査してきた福島大の渡辺明教授によると、伊南川の水の酸性度は雪解けのころに限ってpH4、5前後(中性値7)の酸性を示すことがある。
 南会津西部漁協の理事斎藤和夫さん(61)=南会津町=は長年、伊南川に釣り糸を垂れてきた。「アユの病気の問題は除いて、釣果に大きな変化はないように思うが、川虫が減っているのは確か」とその変化を指摘する。「増水することが多くなり、上流の国有林伐採や林道整備の影響と思っていた。大雨のたびに川が濁り底石が掘り起こされると、環境の回復まで2年はかかる。融雪剤の流れ込みもある。さらに、酸性雨や地球温暖化の影響も考えないと」
 渡辺教授の研究では、酸性雪の原因物質の多くは中国大陸や朝鮮半島方面から飛来するとみられ、化石燃料を燃やすことによって生まれた可能性が高い。
 会津は一口に雪国と称されるが、1966(昭和41)年以降の降雪量をみると、北部で減少、南会津で増加する傾向が顕著に出ている。「シベリアから押し出してくる寒気が弱くなり、南西部からくる低気圧が北上しやすくなっている。この影響で北部の雪が減り、南会津の雪が増える。春先のドカ雪が真冬に降っているようなもの」と渡辺教授は解説する。
 大気汚染物質の襲来は、夏も深刻。県生活環境部によると、光化学スモッグの予報、注意報の発令が増加傾向をみせている。窒素酸化物や炭化水素などが紫外線を受けて反応し光化学オキシダントが発生、人体にも影響を及ぼす。
 発生が目立つのは県南やいわき、双葉郡南部。「県内34カ所の観測所で五つの大気汚染物質を測定しているが、光化学オキシダントは2001年の1カ所を除いて、環境基準をクリアできていない」と、井沢道雄県大気環境参事は顔を曇らせる。
 県は中国大陸での汚染物質増加が影響していると懸念する一方、渡辺教授は汚染物質の関東方面からの流入や、いわき市での生成も疑う。「南からの高気圧に運ばれることが多い。オキシダントも温室効果が高い。化石燃料の消費がもたらした現象だ」と渡辺教授は危機感を募らす。
   
 


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