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 拡大する中国リスク 
 
  生産・調達の依存見直し

 尖閣諸島の国有化を機に中国国内の反日運動が激化し、多くの日系企業に建物の毀損(きそん)や臨時休業などの影響が出た。日本からの輸入物資を標的にした税関検査の遅延も報道されている。県内企業からも経済への悪影響を強く懸念する声が聞かれ始めた。
 東アジアの国際分業体制の深化から、経済面の影響は多岐にわたる。中国は日本企業の生産拠点であると同時に、有望な消費市場でもあり、今や輸出額の2割を占める最大の輸出先。部品や原材料など調達面での依存度も高い。また、年間80万人規模の中国人観光客は今や日本の観光を支える重要な存在だ。
 事の発端が領土問題であるだけに、問題の長期化は必至。今後は同様の事態が繰り返されるリスクも想定し、生産・調達両面で中国依存を見直す努力が求められる。既に生産面では中国国内の人件費高騰からチャイナ+1の生産体制への移行が進んでいるが、こうした取り組みが一層加速していくと予想される。
 外交面では関係改善に向けた努力を尽くすべきであることは当然だが、関係悪化を危惧するあまり、通貨の自由化に向けた働き掛けを後退させてはならない。人為的に通貨安を維持する中国、韓国との比較で、日本企業の競争力が失われている現状を打開する努力は領土問題同様、極めて重要だ。


けいざい散歩


2012年10月1日付
福島民友新聞に掲載

 

 

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