minyu-net

連載 ホーム 県内ニュース スポーツ 社説 イベント 観光 グルメ 健康・医療 販売申込  
 
 >>> けいざい散歩TOP
 3月短観 
 
  円安でも回復には課題

 3月の福島短観は、復興需要に恵まれた非製造業(建設、小売りなど)こそ、好結果を維持したが、製造業の企業マインドは前回調査(昨年12月)対比でさらに悪化した。円安による輸出採算改善のメリットを享受しているのは一部の大企業に限られ、本県の中堅・中小企業においては、むしろ原材料の円建て価格上昇などマイナス面の方が先行して表れているようだ。
 先行きについても企業は楽観視していない。世界経済の回復スピードが緩慢なこともあり、次回6月時点の予測値もさほど改善していない。製造業の売り上げの本格回復は年度後半にズレ込むとの予想が大勢だ。
 既往の円高下で生産拠点の海外シフトが進み、高付加価値品に特化した日本のモノ作りは、円安になっても容易には輸出量が伸びにくい構造に変質している。おまけに夏場以降は電気料金の引き上げが予定され、電力への依存度が高い素材業種では円安による交易条件改善のメリットを食いつぶす。
 先日、日銀は「異次元」の追加緩和に踏み切ったが、金融緩和に端を発した円安だけでは、日本経済の本格回復はおぼつかない。徹底した規制緩和や技術革新のスピードに合った償却期間の短縮、安価かつ安定した電力供給を裏打ちするエネルギー政策の再構築など、積み残された重要課題の解決が待たれる。

 ◇おことわり 15日付朝刊は休みのため、今回は14日に掲載しました。

けいざい散歩


2013年4月14日付
福島民友新聞に掲載

 

 

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c)  THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN