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  【 福島の万葉歌碑TOP 】
「安太多良真弓(弦はけて)」(本宮・郡山)
みちのくの安太多良真弓弦はけて引かばか人の吾を言なさむ
 
 弓引くように心寄せて

 福島県内に、

 みちのくの安太多良真弓(あだたらまゆみ)弦(つら)はけて引かばか人の吾を言なさむ(巻7・13 29)

の万葉歌碑は2基建立されている。

 その1つは、昭和63年6月20日、「サンライズもとみや」の竣(しゅん)工記念として、隣接する本宮市(旧本宮町)矢来にある本宮中央公民館庭に建立された歌碑である。

 建立者は県立安積女子高等学校(現安積黎明高)同窓会本宮支部(堀越フミ支部長)の「万葉研究会」(武田利喜会長)である。堀越フミが歌碑建立委員会委員長となり建立を企画推進した。

 歌碑は台石とも高さ約1.5メートル、幅約1.3メートルである。揮毫(きごう)は安女同窓会長の山内和子である。台石の前面には、建碑の趣旨が次の通り刻されている。

 昔から東北地方の安達太良山は有名で、そこに自生するまゆみの木が、弓の材料として珍重されました。

 この歌は万葉集 上巻 巻7 譬喩(ひゆ)歌の中に「弓に寄する」歌として記されています。

 陸奥の安達太良眞弓弦著(つらは)けて引かばか人の吾(あ)を言(こと) なさむ

 歌の意味

 安達太良山のまゆみにつるをつけて、弓を引くようにあなたに心を寄せたら、世間では私とあなたを何と噂するでしょう。

 この歌の作者は不明です。

 安女同窓会本宮支部万葉研究会

 碑陰には「安積女子高等学校同窓会/本宮支部/万葉研究会/昭和63年6月」と刻されている。

 その2つは、郡山市喜久田町赤津前の「四季の里郡山緑水苑」(郡山万葉植物園)に建立された歌碑である。平成10年4月29日、植物園の開園に合わせて、庭園内の、安達太良山を望むことができる展望台において除幕式が行われた。

 高さ約1.3メートル、幅約2.4メートルの自然石に、

 陸奥(みちのく)の/安達太良眞弓/ 弦着けて/引かばか人の/ 吾(わ)を言(こと)なさむ/作者未詳 /(7―1329)と陽刻された金属板が嵌(は)め込まれている。

 郡山万葉植物園は、『万葉集』に収められている歌の北限が本県であることをPRしようと、郡山文化協会(今泉正顕会長)が会員や企業に寄付を呼び掛け、郡山緑水苑(佐久間繁社長)の協力で設置された。

 広さ約10ヘクタールの同園内には『万葉集』中に詠まれている約150種の草花のうち、南国の植物を除く約140種が植栽され、それぞれの草花にちなんだ万葉歌を紹介した表示板が設置されている。

 また、同園には、郡山市にゆかりの花・ハナカツミを詠(よ)んだ『古今和歌集』の歌を刻んだ「花かつみ歌碑」(みちのくのあさかの沼の花かつみかつ見る人に恋ひやわたらん)も同時に建立されている。(敬称略)

 (福島短歌研究会会長)
福島の万葉歌碑

今野 金哉

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四季の里郡山緑水苑に建立された歌碑

四季の里郡山緑水苑に建立された歌碑

本宮中央公民館庭に建立された歌碑

本宮中央公民館庭に建立された歌碑



【2008年2月27日付】
 

 

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