加害者/「安易さ」「金欲しさ」 STOPなりすまし詐欺

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加害者/「安易さ」「金欲しさ」

 ◆犯罪認識なく加担/利用される社会的弱者   

 見ず知らずの男に現金運搬などの"仕事"を持ち掛けられ、その仕事が「なりすまし詐欺」につながっていく。現金の受け取り役(受け子)、そして、だまし取った現金の振込先となる通帳を譲り渡し、なりすまし詐欺に加担したとされる被告。県内の法廷で被告が語る言葉からは「安易さ」、あるいは目先の「金欲しさ」が浮き彫りになる。

 ■「何も考えず」

 「『カマタ』という男の指示に従い、仕事として現金を受け取りに行っただけ。詐欺との認識はなかった」。高齢者から1500万円をだまし取ったなりすまし詐欺の受け子とされる本籍千葉県、住所不定の男(28)は13日に福島地裁で開かれた公判の被告人質問で犯罪の認識を否定した。

 「カマタに『よろしく頼む』と言われ、何も考えずに受け取りに行った」と証言。「受け取った金がどういう金か考えていなかった。人生がどうでもよくなり、言われたことだけやればいいと思っていた」

 ■生活苦で誘いに 

 預金通帳とキャッシュカードを他人に譲り渡し、1月に詐欺と犯罪収益移転防止法違反の罪で有罪判決を受けた郡山市の無職男(51)は、地裁郡山支部の法廷で「金を借りたヤミ金融業者から話を持ち掛けられた。生活苦から売り渡してしまった」と供述した。

 ギャンブルなどの遊興費がかさみ、借金を重ねた。通帳などの売買は、犯罪と知り、1回目は断った。しかし、再び誘われて数万円で売り、生活費に充てた。

 捜査関係者によると、男が譲渡した口座には、100万円単位のまとまった額が振り込まれていた。「口座が、なりすまし詐欺に使われ、犯罪に加担したことを申し訳なく思う」。男は、反省の弁を述べた。

 ■情報分断 

 受け子や口座売買の関与者、振込先の現金の引き出し役(出し子)は「犯罪組織の末端」で、不良少年や、ワーキングプアなど社会的弱者が多いのが特徴。捜査は、これらを起点に組織上部に進む「突き上げ捜査」が中心だが、受け子を依頼する男は偽名を使うなどして組織の情報を分断しており、全容解明を難しくしている。

   ◇

 家族や警察官などを名乗って県内の高齢者らから現金をだまし取る「なりすまし詐欺」の被害が止まらない。本県での昨年1年間の被害は111件、約4億7096万円で過去最悪を記録、今年も昨年を上回るペースで推移し、予断を許さない状況だ。「だます側」「だまされる側」の背景を探る。