私書箱サービス悪用 現金、経路たどりにくく

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私書箱サービス悪用 現金、経路たどりにくく

都心の雑居ビルで私書箱サービスも行っている会社事務所。経営者は「偽の免許証を見せられても素人が見抜くのは難しい」と話した

 被害が拡大し続けるなりすまし詐欺。犯行グループは警察の摘発や防止対策をすり抜けるように手口を変えている。当初、主流だった金融機関から送金させる手口は、金融機関が警戒を強めたのを受けて減り、被害者に郵送や宅配業者を介して私書箱などに現金を送らせたり、手渡しで現金を受け取る手口が増えた。今月中旬、警察庁が公開している現金送り先となった私設私書箱などのリストの一つを記者が訪ねた。

 ■免許証を偽造

 東京都千代田区のJR神田駅近くにある雑居ビルが密集する一角。ビルに入り、2階に上ると、どの通信会社でも使える携帯電話端末を販売している会社がある。この会社が事務所を利用して行っている私書箱サービスが犯行に利用された。同社は私書箱を開設する客に免許証の提示を求めているが、免許証自体が偽造だったという。

 「提示された免許証が怪しいと思ってコピーを取り、警察署に確認しようとしたことがあったが、事件にならないと警察は確認してくれない。事件が起きてから契約書類の確認にやってきて『これ偽の免許証だよ』と言われても遅いよ」。事件後、捜査員の訪問を受けた、この会社を経営する40代ぐらいの松川貴男(仮名)が明かす。「偽の免許証なんて素人が判断するのは難しい」

 数カ月前には、送り主の高齢者の女性から「現金を送ってしまった。確認してほしい」と松川に連絡が入った。中身を見たところ、現金150万円が入っていた。そのまま送り返し、被害を未然に防いだ。他にも宅配便の送り主からの要望を受け、確認すると、ハードカバーの本と本の間に現金100万円が挟んであったこともあった。犯行グループの指示で現金と分からないようにして送ったとみられる。

 ■ 「10件ほど断った」

 警察からは「偽の免許証を持参する人は本籍、住所、年齢などメモを見ながら書くから注意して見てほしい」と指導を受けた。現在は、住所などをすぐに書けない客には理由を聞き、相手が「最近、引っ越ししたばかりなんだよ」「(年齢)いくつだっけかなあ」など怪しい返答をする場合には、契約を断るようにしている。「これまで10件ほど断ったかな」

 県警捜査2課によると、こうした私設私書箱に送られた現金は、管理の目の行き届かない空き室への郵送などを経て、経路をたどりにくくした上で犯行グループの元に届いているケースがあるという。