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高コスト体質 財政圧迫
【平成18年4月3日掲載】
「公設民営」移行まで1年を切った三春病院。この日の待合室にも、まばらながら、診療を託す地域住民の姿があった
第2部  医 療

累積赤字額は181億円/公設民営で打開なるか
 県民の命と健康を守るべき医療環境が大きく揺らいでいる。県立大野病院の医療事故による産婦人科医の逮捕・起訴を機に加速した医師の集約化や診療科再編の動き、都市部でも深刻化する医師不足、へき地や地域医療を担う県や福島医大の在り方など課題は山積している。医療行政は本来、厚生労働省が主導してきたが、県民生活に直結する分野として県にも今、地方の実情に合った施策の充実が迫られている。本県医療の現状と課題を追った。
県立病院改革 (上)
 「自治体が引き受けないなら民間に売るという、背水の陣だったのだろう」。県立病院改革で来年3月末の廃止まで、あと1年を切った県立三春病院。廃止反対の立場を貫いてきた鈴木義孝町長だったが、県方針を受け入れ、公設民営での病院存続の道を選んだ。

 県が改革を打ち出したのは10年以上も前。三春病院廃止の動きは過去にも2度あったが、そのたびに地元で反対運動が起きた。鈴木町長も当時、町議として参加した1人だ。しかし今回は、国も地方も大きな借金を抱え、社会情勢は大きく変わっていた。

 同病院は、外来患者の9割が三春町と田村市船引町の住民だが、入院となると8割近い患者が隣の郡山市に行くなど、県中医療圏の恵まれた環境下にある。「赤字をほっておいて『町に上げます』では、県は無責任だ。しかし改革の強い姿勢が伝わってきて、今までと同じことをしてもダメと直感した」。鈴木町長は決断の時を述懐する。

 県は3病院・1診療所の廃止と、会津の2病院統合の方針を持って、交渉に乗り込んできた。「町が手を挙げなければ、民間が買って86床のベッド数はどこかに行ってしまう。住み良いまちづくりに、空いた穴は補えない」。庁内の反対の声を押し切って選択した道が、公設民営だ。

 町は建て替え方針を突きつけた。廃止予定病院・診療所の地元自治体では唯一、建て替え費用の算定を民間委託し、併せて医療機器の更新や運営基金を含め根拠ある数字で提案した。最後は県が前向きな支援を約束し、施設整備など19億円の初期投資分拠出も決定。町の要求が通った。

 町は来年度の新病院開設に向け、指定管理者の公募準備を進めている。地元医師らによる法人設立なども打診したが実らなかった。公募先が見つかるかどうかを含め、公設民営病院の経営を軌道に乗せるまで、いばらの道は続く。しかし県病院局からは三春方式が一つのモデルケースに映る。

 県立10病院の累積赤字額は181億円に膨らんでいる。医業収益に占める10病院の人件費比率は平均80%で、都道府県立病院の平均60%を超えている。廃止予定のリハビリテーション飯坂温泉、猪苗代、本宮診療所に加え、矢吹の3病院・1診療所に至っては、人件費比率が100%を超える(2004年度決算)。医業収益では足りず、税金で赤字を穴埋めする経営が続いている。

 「地域医療の確保という重要な役割は確かにある。ただ県民は人件費を税金で穴埋めする状況に納得してくれるのか」と、ある県幹部はジレンマを口にした。経営の高コスト体質と医療サービスの不十分さが指摘され、本県財政の悪化に拍車をかけている病院事業は長年の懸案だった。

 県立病院改革に当たって県は、一つの先進事例に注目していた。全国で初めて、全県立病院の民営化を打ち出した福岡県。病院局は、職員を現地に送り込むなど研究を深めた。
 


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