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【平成18年4月13日掲載】
へき地医療について昨夏、只見町で行われた福島医大生の研修。高齢化地域では家庭医の存在意義が高まりつつある
第2部  医 療

高齢化地域で存在意義増す
家庭医の育成
 人口3500人の北海道更別村。小さな村の診療所で、3人の医師が村民の健康を守る。いずれも国内初の家庭医養成・研修を始めたカレス・アライアンス北海道家庭医療学センターで訓練を積んだ専門の医師。3人はこの地域で生活する高齢者らの家族や生活環境も含めて対応する。センター所長として10年間、50人近い医師を育て上げた家庭医学の第一人者が葛西龍樹氏だ。葛西氏は今春、福島医大総合診療・地域医療部の初代教授に就任。本県を拠点に家庭医育成を視野に入れた取り組みを始めた。

 国内ではまだなじみが薄い家庭医は、内科や整形外科、皮膚科などの診療科や年代にかかわらず、治療や予防などの健康全般にかかわる。欧米では、家庭医の紹介状がなくては専門医を受診できず、両者は肩を並べる存在だが、葛西教授は「日本では認知されず、専門医の方が上だとみられてきた」と指摘する。これまで家庭医として必要な臨床教育を受ける環境が未整備だったことも無関係ではない。

 福島医大には主に、疾患が明確で高度な医療を必要とする患者が集中するため、家庭医を育てる環境にはなかった。このため「家庭医を必要としている地域に入り、実践で学ぶ必要がある」と葛西教授。家庭医の存在が、いわば地域限定だった北海道とは違い、教授は、家庭医を全県に広げる構想を抱く。

 本県の中でも特に高齢化率が高い会津地方。福島医大医学部の学生や研修医はここで一般家庭などに下宿し、県立病院や診療所で研修を受ける。これまでに研修を受けたのは延べ22人。高齢者の多いへき地は、疾患を問わず診断を下せる家庭医の存在意義がひときわ大きい。へき地での勤務経験のある医師は「高齢者はいくつもの疾患を抱えている。専門性の高い医学知識では対応できなかった」と反省を口にした。

 へき地のみならず、高齢者の在宅医療やがん患者を中心とした緩和医療など、総合的な診療能力を備えた家庭医が担うべき分野は、さらに広がる可能性がある。今後、地域医療を実践し、専門的な教育を受けた家庭医を県内の医療体制の中にどう組み入れるか。県病院局は、会津総合、宮下、南会津の県立3病院で診療と教育の機能を持たせる検討にも入った。専門医中心だったこれまでの医療の中で、地域医療を担う家庭医が新しい形で存在感を示すため、県や医大の今後の取り組みが試されている。(第2部・おわり)
 


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