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給与格差でやる気喚起
【平成18年5月19日掲載】
 変化の激しい社会環境に対応するため県が3月にまとめた行財政改革大綱(2006−10年度)。最終ページに近い目立たぬところに「新たな人事制度の検討」が盛り込まれている。目指すところは能力給の本格導入だ。
膨大な業務量を前に、深夜まで県庁エリートの格闘が続く。人事評価が課題だ
第3部  県 庁

将来担う人材民間集中懸念
能力主義
 二の足を踏む県庁組織

 しかし積極的な検討を求める佐藤知事とは対照的に、県庁組織は二の足を踏んでいる。外部有識者からなる行財政改革推進委員会の意見を求め、年内には一定の方向性を出したいとする人事当局は、キーワードに「人材育成」を挙げた。

 昇格と勤務年数による昇給で給料が増えてきた公務員制度はこの4月の給与構造改革で、能力に応じて昇給に若干の格差をつけることが可能になった。「よほど能力のない人を振り落とす程度」という見方もあるが、同期横並びの「平等主義」に風穴が開いた。

 導入に人件費抑制課題

 新人事制度で議論されているのは、さらに進んで、能力のある人材には大幅な昇給を認め、仕事をしない職員は削り込んで職員のやる気を引き出すこと。1978(昭和53)年度以降の大量採用組から幹部候補が出る年代になり、ポストが足りなくなる分を昇給で拾い上げることも、理論的には可能。ただし、総予算と人件費の抑制、行政の効率化という課題を背負っての導入になる。

 地方自治総合研究所の自治体人事行政研究会委員を務め、地方公務員制度に詳しい今井照福島大教授は、評価に応じた格差を肯定しながらも「生涯にわたる成果ならポストで、新規事業など短期的な成果ならボーナスで対応すべきだ。本給で対応すると、将来は仕事をしなくても過去に仕事したから(高給取り)という状況になる」と、能力給の本格導入に否定的だ。

 「成果測るのは難しい」

 今井教授が続ける。「行政の仕事は一人一人でなくチームで行う場合が多い。評価された人はいいが、評価されない人はどうなるか。組織全体の活力が低下する恐れがある。また行政サービスには対価がなく、成果を測るのは難しい」

 県の上層部からも「隣の給料袋を気にして口もきかない職場環境では行政の仕事はできない」「給料も抑えられて能率向上を求められては、人材は民間に集中して県庁に来なくなる」など、極端な能力主義は人材確保や育成につながらないという懸念が聞こえる。

 一方、和歌山県など改革派知事のもとでは能力主義に応じた降格処分の断行が行われた。人材が集わない自治体で行政サービスも停滞しかねない落とし穴は潜むが、県民の公務員を見る目は厳しさを増している。
 


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