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宙に浮くプルサーマル
【平成18年9月4日掲載】
東電の荒木浩社長(左)=当時=にプルサーマル計画の事前了解を伝えた佐藤知事。4つの条件が達成されないまま8年が経過した=1998年11月2日、県庁
 
第4部 原子力政策
 
「白紙撤回」で議論を先送り
信頼と時間(下)
 6月14日、富岡町の遠藤勝也町長が町議会の答弁で、プルサーマル導入は議論を再開する時期という認識を示した。「住民も安心できるプルサーマル計画の在り方を検討すべきだ」。原発トラブル隠しで計画を凍結した大熊、双葉、富岡、楢葉の立地4町が、県原子力発電所所在町協議会(会長・遠藤町長)として凍結解除を確認したことが理由だが、原発推進派が多い双葉郡内では最も佐藤知事寄りとされる遠藤町長の発言だけに、県庁に衝撃が走った。

 佐藤知事は翌15日の記者会見で「今までの考え方を変えようという気持ちはない」と述べ、強い不快感が地元に伝わる。遠藤町長の発言は急速にトーンダウンした。

 しかし、今度は福島第一原発3号機の地元、志賀秀朗大熊町長が二の矢を放った。8月28日、東京電力のトラブル隠し総括セレモニーの後、報道陣に答え、「二酸化炭素問題や核燃サイクルを進める上でもプルサーマルは実施すべきで、なぜ駄目なのか分からない」と語った。

 佐賀、愛媛は推進の姿勢

 東電や関西電力の不祥事続きで止まったプルサーマル計画に、九州、四国、中国、中部の各電力が腰を上げた。世界的な原油高と欧米の原子力回帰の動きも追い風に映る。佐賀県、愛媛県などが推進色で応えると、経済産業省は核燃料サイクル交付金を新設、プルサーマル導入表明の道県に最大60億円を交付する資金戦術で地元を誘う。それでも地元理解の醸成には時間が必要だ。各県の推進方針に対して、原発周辺市町村が難色を示すなど荒れ模様。佐賀県は県への交付金の町村配分を表明し打開を試みている。

 大熊町役場。県からの交付金配分に今さら大きな期待もない安定財政の中で、志賀町長が説く。「交付金のためにプルサーマルをやる考えは毛頭ない。環境に優しい代替エネルギーもあるが、全国の電気は賄えない。化石燃料はコストが高く、原子力に頼らざるを得ない。核燃サイクルが丸だとすれば現況は四角だが、丸い円にするにはプルサーマルは欠かせない」

 伝わらない反対の理由

 プルサーマル計画が再び具体化した場合に、県の態勢はできているのか。(1)運転30年でトラブルも目立つ3号機での実施の妥当性(2)7年間も水中にあったMOX燃料の使用可否(3)国が先送りしたままの使用済みMOX燃料の処理策―など、住民理解を阻む課題は格段に増えている。4年前の「白紙撤回」を言うのみで、今反対する理由が十分に伝わらない。現実的な議論を先送りしたかのような県の姿勢に、地元関係者の目は厳しさを増している。
 


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