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肝心なのは実効性確保
【平成18年9月5日掲載】
始業前に指さし点呼で人為ミス防止を図る協力企業社員。システムの高経年化対策の在り方も問われている
=福島第一原発
 
第4部 原子力政策
 
チェック体系構築問われる
高経年化対策
 運転開始から30年が経過した号機(プラント)を対象とした高経年化対策。全国では現在11カ所、県内では福島第一原発1号機(1971年3月運転開始)、同2号機(74年7月)、同3号機(76年3月)が対象だ。

 原子力安全・保安院は04年12月、庁内に高経年化対策室を開設した。原発老朽化に対する国民の漠然とした不安が、同年8月の関西電力美浜原発・配管破断事故で現実になり、政府は犠牲者が出て初めて体制を拡充する形になった。

 用語使用に極めて過敏

 「高経年化という言葉は辞書にも載ってない」と話す対策室の前田克治安全審査官は、「高経年化とは、時間の経過。老朽化(古くなって役に立たなくなること)とは違う」と、用語使用に極めて過敏だ。

 「30年という期間は原発の寿命として設定されたわけではなく、設計上の仮定。原発の『実力』とは違う。検査をパスし続ければ理論上は永遠に運転できる」と前田審査官は断言。30年経過原発の運転停止トラブル発生率を示し、「停止が増加する傾向は認められない」と理詰めで説いた。

 県は昨年6月、長期停止した第一原発1号機の運転再開を認める際、報告書に特に高経年化に関する国と事業者の責任、課題を列挙して対応を迫った。(1)想定しなかったトラブル発生をも想定して管理と情報公開に当たる(2)労務管理や企業風土などシステムの老朽化対策(3)配管などステンレス鋼がストレスと放射線の影響で割れる現象(応力腐食割れ)は科学的に未解明な点が多いので「安全・安心」を最優先に点検・補修―など、いずれも住民の目線から見過ごせないポイントが並ぶ。茨城県東海村のJCO事故も美浜事故も、犠牲者は最前線に立つ労働者、地元住民にほかならない。

 県指摘意識した改善も

 保安院はその2カ月後、高経年化対策の拡充方針を発表。組織風土の劣化対策、説明責任など本県の指摘を意識した改善事項も目立った。しかし、肝心なのは実効性が確保されるか否か。文言の改善や用語解説ではない。

 県は現在、具体的なトラブルが発生するたびに「素人の目で見た疑問」をぶつけるしかなく、官と民(東電)の現場間で、厳しい言葉の応酬が摩擦を生むことも多い。国と事業者を納得させられる県のチェックシステムを、どう構築していくかが問われている。

 さらに、保安院が「理論上は永遠に運転できる」という原発も、いずれは廃炉を迫られる。「その時期は事業者が決めること」(保安院)と事業者の背後に姿を消す政府。それを前面に連れ戻せるのは、関係自治体の力の結集しかない。
 


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