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漢字の世界331

 

【2007.2.16】
前車之轍(ぜんしゃのてつ)

前を行く車の轍の跡

 前を行く車の轍の跡

  前を行く車の轍(わだち)の跡。それを見て後から行く者の戒めとする。

 「前車の覆(ふく)轍」(くつがえったわだちの跡)、正確には「前車の覆(くつがえ)るは後車の戒め」という。

 これは『漢書』に鄙諺(ひげん)(世間のことわざ)として見えるもの。前を行く車がひっくり返ったのを見て、後から行く車の戒めとする、という意味。6回に見た「他山之(の)石」とも近い言葉だ。

 一般には、「前車の轍を踏むなかれ」というように自省の意味で用いられる。それだけ、そういう事例が多いことだ。

 ナポレオンがロシアへ攻め入って冬将軍にやられたのと同じ轍を、ヒトラーが踏んだことなど記憶に新しい。古い言葉に「殷鑑(いんかん)遠からず」がある。次回に。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 



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