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   【編集日記】(7月2日付)

 雨の季節は写真集「筑豊のこどもたち」を残した写真家の土門拳さんが〈「歌」をうたわない子供たち〉で触れた児童相談所のことを思い出す▼母が出稼ぎ中に父が亡くなり、引き取られた12歳と8歳の姉妹の生活を知るため児童相談所を訪問した土門さんは両親が共に死亡、家出、病気などの事情で保護された子どもたちが集まれば泣いたり笑ったりとにぎやかだが、歌声がないのを不思議に感じた▼それは子守歌や童謡で育ってこなかった生い立ちを物語っているという。ピアノやオルガンを買う予算もなく、先生が時折ハーモニカで歌を教えていたが、吹きかけて「こいつはいけねえや」とやめた曲が「あめふり」▼「あめあめ、ふれふれ」の歌詞に「かあさんが」と続くため母親のない子を悲しい気持ちにさせてはいけないと思ったからだ。(全集から・小学館)▼「雪がふると子守唄がきこえる」。室生犀星は「子守唄」で「母といふものを子供のときにしらないわたしに/さういふ唄の記憶があらうとは思へない/だが不思議に/雪のふる日は聴(きこ)える」と、雪が届ける歌をいとおしんだ▼土門さんが歌の響かない児童相談所を文字に刻んで半世紀近くたつ今、子どもたちが集まれば自然に歌声に包まれるだろうか。歌は揺りかごに優しい社会も問いかける。

 
   
 

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