【編集日記】(9月15日付)

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 本県沖は暖流と寒流が混ざり合う「潮目の海」。豊富な魚介類が捕れるのは、そのおかげだ。「あんなにいい漁場は、めったにない」。東日本大震災が起きるまで、主に東京電力福島第1原発の近くで漁をしていた男性から聞いた言葉を思い出す

 ▼取材したのは一昨年のこと。第1、第2原発のほぼ中間にある小良ケ浜灯台(富岡町)が再点灯した際だった。沖合約32キロまで届く灯台の光は、双葉郡沖で操業する漁船の道しるべだった

 ▼震災から4年半が過ぎ、本県沖での試験操業は徐々に対象魚種が増えてきた。底引き網漁による操業範囲も今月から水深90メートルより深い海域まで拡大された。しかし、今も第1原発の半径20キロ内に漁師の姿はない

 ▼東電は、第1原発建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた地下水を浄化して海に流す「サブドレン計画」を実施に移した。汚染水対策は第1原発の廃炉に向けた大前提だが、地下水放出には漁業者による苦渋の決断があったことを忘れてはいけない

 ▼「一日も早く地元での漁を再開したい」と願っている漁師は多い。東電は、慎重、確実に汚染水対策を前進させていかなければならない。それが漁業者へ希望の光を届けることにつながる。