【編集日記】(9月18日付)

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 旧石器時代の人々が約1万5000年前に描いたとみられるフランス・ラスコー洞窟の壁画。そこには多くの動物が描かれている

 ▼身近なところでは泉崎村の横穴墓にも私たちの祖先が描いた絵が残る。東北で初めて発見された装飾古墳で、6世紀から7世紀ごろのものとされている。馬などの動物や人物、渦巻きといった幾何学模様が鮮やかな赤色顔料で描かれている

 ▼人の芸術行為の根源は渦巻きやジグザグ線といった幼児の"殴り書き"に見ることができるという。ある対象を描こうとするのではなく、這(は)い、立ち、歩くという身体運動の再現で生命の深いリズムに起源するそうだ(小林道憲「芸術学事始め―宇宙を招くもの」)

 ▼人間は"表現する動物"と言えるかもしれない。2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムをめぐる"迷走"はその表現に関わる問題。世界に波紋を広げた末、新たな作品を選考し直すことになった

 ▼子どもの戯れの中には宇宙の命が宿るという。子どもの絵は大人が既に失った生きた浮遊空間によって彩られているともいう。人々が望むのは勇気と希望を与えてくれるような五輪だ。新エンブレムがそんな祭典にふさわしいものになればいい。