【編集日記】(9月20日付)

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 集合住宅の一角にあるわが家。緑地に植えられていた広葉樹が窓の近くまで枝を伸ばしていた。長年、慣れ親しんできた景色だったが、その姿が消えた

 ▼原発事故に伴う除染作業の開始に伴って伐採されたようだ。周囲にまとまった緑が少ないためなのか四季折々に野鳥が訪れていた。芽吹きの頃になると決まったようにやって来たのはヒヨドリだ。うるさいと思った鳴き声が今では懐かしい

 ▼名前が分かっている鳥たちだけではなかった。時には、これまで見たこともない、色鮮やかな羽毛をまとった渡り鳥らしい姿もあった。それらの鳥たちはこれからは、どんな木を選んで羽を休めるのだろうと思う

 ▼原発事故から4年6カ月もたって順番が回ってきたわが家周辺の除染だが、この間もなんとか今の場所で暮らしてきた。そう思うと事故によって避難を強いられた人たちが異境の地で過ごしてきた歳月の長さと重さがこの身にも迫ってくる

 ▼避難指示の解除で復興に弾みがつくと期待される自治体もある。事故現場では汚染水の抜本的対策と位置付けた「サブドレン計画」がようやく稼働した。だが廃炉完了の目標は30~40年も後のことになる。この先の歳月の重さと長さも思い知る。