【編集日記】(9月24日付)

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 福島市西部の土船地区。真っ赤な彼岸花が色鮮やかに彩るのどかな田園地帯を抜けると、吾妻の山並みの麓に約3・6ヘクタールの敷地が広がり、近代的で真新しい牛舎が並ぶ

 ▼東京電力福島第1原発事故によって生産休止に追い込まれた相双地方の酪農家5人が運営する「復興牧場」だ。酪農再生への希望をかけ、県内最大となる乳牛約500頭をここで飼育する。落成式があす、行われる

 ▼県内の酪農家は、原発事故で深い痛手を負った。避難により休業に追い込まれ、今も再開できない農家も多い。さらに高齢化や後継者不足など酪農業には課題が山積する。近代的な施設での共同経営を実践し、酪農業の新しい可能性に挑戦する復興牧場には大きな期待が寄せられる

 ▼牛乳の利用法は6世紀頃、仏教と同時期に日本に伝来したといわれる。本当の面白さや、深い味わいのことをいう「醍醐味(だいごみ)」の醍醐とは、もともと仏教の言葉。古来作られていた乳製品のことで、「最も美味なるもの」だという

 ▼復興牧場のオープンにより本県の酪農の歴史に新たな一ページが加わる。農家が再び、酪農の醍醐味を味わうことができる施設となるよう願う。それが、酪農復興に向けた道しるべとなるはずだ。