【編集日記】(9月26日付)

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 文豪夏目漱石の小説「坊っちゃん」で主人公坊っちゃんと並び魅力的なのが、会津出身の数学教師「山嵐」。最初反発した主人公も真っすぐな人柄を認めることになる

 ▼坊っちゃんにいたずらを仕掛けた生徒たちの処分を話し合う職員会議。怒る主人公に、教頭の「赤シャツ」は事を荒立てまいと処分に反対。他の教師も追従する。そんななか山嵐の言葉が会議を決着させる

 ▼「教育の精神は単に学問を授(さず)けるばかりではない、高(こう)尚(しょう)な、正直な、武士的な元気を鼓吹(こすい)すると同時に、野卑(やひ)な、軽躁(けいそう)な、暴慢(ぼうまん)な悪風を掃蕩(そうとう)するにある」(「坊っちゃん」新潮文庫)。そう言い山嵐は処分を主張、同時に坊っちゃんの落ち度にも触れる

 ▼この山嵐のモデルには諸説あるが、荒川紘静岡大名誉教授らは、元会津藩士で漱石も教師を勤めた旧制五高の教授秋月悌次郎を挙げ、山嵐の言葉に人格の完成を目指した会津藩の教育理念を見る

 ▼それから100年以上たつ今、少子化と財政難を背景に国立大の抜本改革が叫ばれている。国立大学協会も改革プランで推薦枠拡大などとともに地域性を生かした教育を掲げた。ならば人格教育を究める大学も選択肢の一つ。山嵐のように筋を通す若者も必要だろう。