【編集日記】(9月29日付)

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 かわいい盛りだったろう。シリア難民の男児は家族とともにボートに乗り、ギリシャを目指していた。しかしボートが途中で沈没。テレビ画面には、トルコの海岸に漂着した男児の姿が映っていた。まだ3歳の命だ。胸が痛む

 ▼中東やアフリカなど紛争地から逃れた難民が欧州に殺到している。地中海を渡り欧州に到達した難民は今年、35万人を超えたという。渡航中の事故による死者も激増する。難民問題は今、世界で深刻な状況に陥っている

 ▼第2次大戦中、ナチス・ドイツの迫害からユダヤ難民を救った外交官・杉原千畝(ちうね)の資料が、ユネスコの記憶遺産候補になった。リトアニア領事代理だった杉原はポーランドからの難民に日本の通過ビザ(査証)を発給、約6千人を救ったとされる

 ▼杉原は領事館閉鎖で離任する直前まで、手書きでビザを出し続けたという。日本政府の方針に逆らい、苦悩しながら発給した杉原のビザは「命のビザ」と呼ばれている

 ▼数年前、ビザで救われたポーランド人女性が県内を訪れた折、「難しい決断だっただろうが、(杉原は)良心に基づいて行動した」と話した。今、国際社会が最も優先すべきは、難民への人道的対応であることは言うまでもない。