【編集日記】(10月18日付)

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 高い山からは雪の便りも届く。深まり行く秋だが、日本人は古くから、食材としてのマツタケに高い関心を寄せていたらしい

 ▼「拾遺和歌集」には「あしひきの山下水にぬれにけりその火まづたけ衣あぶらん」(「和歌文学大系」明治書院)の歌がある。「火を真っ先に焚(た)け」をマツタケに掛けたという。鎌倉時代に入ると、マツタケ狩りが貴族のレクリエーションになった(田家康著「気候で読み解く日本の歴史」)

 ▼マツタケはアカマツの幼根だけに寄生する。そのアカマツは他の樹種が成長できない、やせた土地で勢力を伸ばす。古代の森林伐採で京都盆地の周囲の丘陵は荒れ果て、アカマツ林が広がった。これがマツタケ食文化の源流となったという

 ▼古代から列島の自然環境の変化は森林伐採や戦乱という人為的なものに加え、太陽活動、火山の大規模噴火といった自然的要因によってももたらされてきた。今は、地球温暖化による影響のリスクが高まっている

 ▼従来の災害対策や温室効果ガス削減だけでは対応できなくなっている。政府は農業や水資源、生態系、人の健康、産業など幅広い分野について対策に乗り出すという。秋の味覚に過去からのメッセージも読み解きたい。