【編集日記】(10月23日付)

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 「きな」「うん」「よて」「しよん」「つつ」「きと」。これらは人の名前でいずれも女性という

 ▼日清戦争で戦死した軍人の遺族に下賜金があった。受け取った妻や娘の名前が1898(明治31)年の新聞に「随分変わりたる名の者あり」として載る(「明治・大正・昭和世相史」社会思想社)。珍名はさらに「きこ」「むち」「けん」などと続く。親は名にどんな意味を込めたのだろうか

 ▼今は「キラキラネーム」にそんな思いを持つが、他人とは違う読みにすることで個性を出したいと考える親が増えているという。その背景には日本文化の中で個性をより重視する個人主義化が進んでいることがあるらしい。京都大のチームがそんな分析を行っている

 ▼珍名と言えば落語の「寿限無(じゅげむ)」。待望の男子の誕生でめでたい言葉を連ねた名をつける。この中の「五劫(ごこう)のすり切れ」は極めて長い時間で長寿の意。「海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)」は海の砂や水中の魚のように計り知れないこと

 ▼長過ぎて子どもには迷惑というのが"落ち"だが、子の幸せを願う親の思いは昔も今も同じはずだ。読みにくいキラキラネームの漢字も夢や希望を連想させるものが少なくない。個性が輝けば、社会全体も輝くだろう。