【編集日記】(10月28日付)

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 狭い谷川を駆け下る急流が、水面の上に突き出た巨岩、岩と岩の間に絡み合った無数の流木を洗う

 ▼山肌を砕き、土石を上流から押し流してきた水の勢いに圧倒されるが、岩も流木も沢を遡上(そじょう)する際の格好の足場。そんな足場も見当たらない深い淵(ふち)をたたえた場所では、切り立った岩肌にへばりつくようにしながら慎重に足を運ぶしかない

 ▼地形を知り尽くした人の案内を受けながら、本県と栃木県境にまたがる阿武隈川の源流域を何度か訪ねたことがある。幾つか滝を越えても行く手を遮るかのように急峻(きゅうしゅん)な山塊が立ちはだかる。秘境と呼ばれるにふさわしい険しい山域だった

 ▼この大河は本県の中央部を流れて宮城県に入り、太平洋にと注ぐ。時には台風や長雨による洪水などももたらすが、流域の社会、文化、経済の発展を支えてきた。その"母なる川"も東日本大震災以降は人々のにぎわいが遠のいてしまった

 ▼かつてのようなにぎわいのある川を取り戻すため、流域自治体などによるプロジェクトが始まった。今後展開されるイベントなどに使うロゴも決まった。人々は川によって生かされ、その川を支えてきた。そんな悠久の歴史の関わりをあらためて見つめ直す機会ともなる。