【編集日記】(10月30日付)

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 「四知」という。「天知り、地知り、我(われ)知り、子(なんじ)(相手)知る」という意味と辞典などにある。中国・後漢時代の学者、楊震の言葉だと伝えられている 

 ▼この故事が宮城谷昌光さんの小説「三国志」の中で紹介されている。楊震が人物を見込んで要職に推挙した知人がお礼の意味を込めて黄金を持ってきた。楊震は、なぜ君はわたしがどういう人間なのか分かってくれないのかと言って断った

 ▼それでもその人物は「ここには二人しかいない。しかも夜中。黄金のやりとりには誰も気付きません」と言った。そこで楊震は「どんな密事でも天が知り、地が知り、当事者が知っている。それが悪事であれば露見しないことがあろうか」

 ▼こちらも誰も気付かないと思っていたのか。だが、不正は明るみに出た。マイナンバー制度導入に絡む汚職だ。人間の不正を"地"が白日の下にさらしたといえるのが、くい打ちデータの改ざん問題。マンションの傾きという物理現象で示してくれたのかもしれない

 ▼宮城谷さんは「悪事ばかりでなく善行もやはり四者が知るのではあるまいか」とも書く。隠れたところで重ねられている善行も少なくないはず。世知辛い世の中だ。そんな報道も増やしたい。