【編集日記】(11月4日付)

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 里山の頂に続く山道脇のやぶにアケビの実があった。近頃は山中を歩いていても見かけなくなっているが、市街地に近く、家族連れなども多く訪れる場所で見つけた秋の味だった

 ▼自宅周辺の野山が遊び場だった子どものころを思い出す。そこで見つけた山の実は格好のおやつともなった。中でも、口に入れるとほんのり甘いアケビの果肉は自然からのうれしい贈り物だった。今はそんな自然の味も忘れてしまっていた

 ▼アケビの利用の歴史は古い。東北では長い冬から解放された早春に、新芽をおひたし、ごまあえなどにした。青菜補給に一役買ったという。秋には色づいた実だけでなく果皮も油炒めなどにして食べた。さらに茎や根、葉などは薬となった(貝和武夫著「アケビ」)

 ▼奥会津地方では、アケビなどのつるを編み込んだ民芸品作りが行われているが20年以上も前に買い求めたバスケットは今も健在だ。わが家の居間では、実用品としてはもちろん、インテリアとしてもその存在感をいささかも減じてはいない

 ▼野生のアケビの実を食する機会は少なくなったが、アケビをはじめとする山の恵みを人々は巧みに利用してきた。その生活の知恵を伝えていくのも私たちの務めだ。