【編集日記】(11月6日付)

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 「雁(かり)がねの 声聞くなへに 明日よりは 春日の山は もみちそめなむ」。雁の鳴き声を聞くようになったからには、明日からは、春日の山は色づきはじめることであろう、の意(「萬葉集釋注」集英社)

 ▼万葉集では「モミチ・モミチバ」を表意文字で示す場合、ほとんど「黄葉」と書き表しているという。中国では「紅葉」や「赤葉」より「黄葉」と書き表すことが多かった。その影響を受けた、と解説されている

 ▼植物学者の木村陽二郎によると、ベニバナを揉(も)んで絹布を紅色に染めたものを「もみ」と言い、奈良時代はモミチと清音で呼び「黄葉」と書いた。平安時代以後はモミジと濁音で呼んで「紅葉」とした(「花の名随筆・十月の花」作品社)

 ▼「しぐれの雨 間なくし降れば 真木の葉も 争ひかねて 色づきにけり」。時雨が絶え間なく降るので真木の葉さえも、逆らいきれずに色づいてきたと言っている。"紅葉"がようやく山から里へと下りてきた

 ▼職場の窓から見えるイチョウの大木が今年も鮮やかな黄色に染め上げられてきた。背景に連なる山々との競演が目を楽しませてくれる。近づく冬の気配を運んで来る冷たい雨は、古里の大地を彩る優れた絵筆でもある。