【編集日記】(11月22日付)

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 漁は獲物との知恵比べ。人は、魚の動きや習性の違いを利用してさまざまな漁法を考え出してきた

 ▼その一つが「はえ縄」。人が深海にタラという大きな魚がいることを知って開発した。容易に近づくことができない沖の海。そんな困難で、遠いところにいる獲物を追い掛けて捕獲するための方法(赤羽正春「ものと人間の文化史・鱈」)

 ▼沖のタラ漁は室町時代に日本海側で本格化した。漁を促したのは深刻な飢饉(ききん)。困窮は約10年間に及ぶ「応仁の乱」を招く要因ともなった。飢饉のまっただ中でもタラは食べることができる大きな魚。干して保存も利く。頻発する飢饉に対抗する優れた保存食となった

 ▼タラは会津の郷土食の一つである棒タラ料理にも欠かせない主役。はえ縄漁によるスケトウダラのすり身も、魚肉ソーセージ、ちくわ、だて巻き、はんぺん、笹(ささ)かまぼこ、薩摩揚げなど日本の伝統食を支えてきた

 ▼タラはえ縄漁の試験操業がいわき沖で始まった。東京電力福島第1原発事故後では初めて。本格復興への新たな一歩だ。震災後、私たちは古里に伝わるさまざまな味によって勇気づけられてきた。その文化を守り抜き、後世に伝えていく気持ちもますます強くなっている。