【12月12日付編集日記】分水嶺

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 浜通りの沿岸部は東へと流れる川が台地を削り、「河岸段丘」をつくりだしている。ここを南北に貫き今春全線開通した常磐道に高架橋が多いのは、激しいアップダウンの連続を避けるためだ

 ▼岬まで続く台地には古い時代の遺跡が多い。森の恵みで生きた民は洪水が多い低地を避けたのだろうか。稲作の始まりとともに人々は低地に生活圏を広げ、その後、水利の悪い台地は開墾などの対象になっていく

 ▼富岡、楢葉両町境はこうした台地上にあり、常磐道と違いアップダウンの多い国道6号でもこの辺りが最も標高の高い地点とされる。東京電力福島第1原発事故による指定廃棄物の最終処分場はここに整備される

 ▼処分場となる富岡側は尾根筋に近い森の中。搬入路がある楢葉側は尾根筋の南で、先人たちがこつこつ広げた農地が広がり人家も並ぶ。子孫に引き継ぐ土地や生活環境への住民の思いは、想像を働かせれば分かる

 ▼最終処分場は、多くの県民が不安を感じてきた下水の汚泥や放射能汚染された稲わらなどを処理していくために、なくてはならない施設だ。事業主体の環境省は住民の思いをどう酌み、納得してもらえる対策を取るか。同省の存在意義も尾根の分水嶺にある。