【12月19日付編集日記】SS過疎地

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 歌人斎藤茂吉に師事したアララギ派の佐藤佐太郎は「事々(ことごと)にこころ苛(いら)つは寒くなりし部屋にストーブをまだ焚(た)かぬため」(歌集「群丘」)と詠んだ。寒さが増す年の暮れに実感が伝わってくる

 ▼さすが東北生まれの佐藤もストーブなしでは落ち着けなかったとみえる。歌を詠んだ1957(昭和32)年は、高度成長期で石油ストーブが急速に普及し、家庭の暖房の主流になってきた時代だ

 ▼県石油商業組合が頭を痛めているのは、家庭の暖房に欠かせぬ灯油、暮らしに必要な車のガソリンを供給する地域のサービスステーション(SS)が減る「SS過疎地」の増加だ。高齢者宅への冬の灯油や災害・緊急時の石油供給への支障を懸念する

 ▼SSが3カ所以下のSS過疎地は県内13町村で、このうち5町村にはSSが1カ所しかない。人口減による顧客の減少や都市部SSとの競合などで、経営が厳しく、後継者不足も深刻だという

 ▼SSが1カ所の三島町では、国、町、同組合などが、石油供給安定化の支援に乗り出した。雪深い地域では暖房と除雪用機械に使う石油供給ルートはライフラインと言えよう。冬本番を前に、安全で快適な暮らしを守る地域のあり方を見つめ直すのも必要だ。