【12月23日付編集日記】森林

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 わが国の落葉樹は年間の落ち葉の量の7、8割を秋から冬の初めに落としている。スギ、ヒノキ、マツ類など常緑の針葉樹でも大半をこの時季に落とす

 ▼その葉はただ落ちるのではない。落ちる前に葉の中では「転流」という現象が起きる。自ら死んでいく前に葉の養分を親元の樹体に戻す、と森林生態学が専門の只木良也さんが「ことわざの生態学」に書いている

 ▼落ち葉は腐り、土に戻った養分は次の命のために使われる。森林は自分で自分の足元の土を養いながら人間が必要とする材料やエネルギー源として石油にあたる役割を果たしてきた。森林を抜きにして人間活動や文化は考えられないという

 ▼森林が生育できるのは地球陸地の3分の1。その限られた面積に地球上の植物量の90%が密集しているそうだ。県土の7割を占める森林。全国4位という広大な面積が、東京電力福島第1原発事故に伴う除染の前に難題として立ちはだかる

 ▼環境省は生活圏から20メートルの範囲と日常的に人の出入りがある場所を除き、大半の森林は原則として除染しない方針という。住民帰還や林業再生への影響を心配する声も上がる。以前のように森林と共生できる道を見つけていかなければならない。