【12月30日付編集日記】寂寥感

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 乱れ立つ山々の端を浮き上がらせていたほのかな残照が、いつの間にか色を失って夕闇の色が濃くなる。日暮れ時にはなんとなく寂寥(せきりょう)感を覚えるもの。人恋しさも一段と募るよう

 ▼「逢魔(おうま)が時」という。日が没して暗くなろうとする時刻。明るい昼と夜の世界の境目だ。昔の人々は、この時間帯になるとさまざまな妖怪たちが現れて歩き回ると信じ、恐れた。人は、はっきりとものが見えにくくなることに不安を覚える

 ▼そんな薄暗い時間帯だった。青信号で横断歩道を渡っていた際、前から左折車が進んできた。停止する様子はなく、危険を感じて後ろに下がった。歩行者が目に入らなかったのか。車はそのまま通り過ぎていった

 ▼今年もいよいよ押し詰まった。そう思えば気ぜわしく感じられてくる。車の運転手の振る舞いもそんな年の瀬の雰囲気がもたらしたものなのか。「逢魔が時」に立ち現れるのは妖怪だけとは限らない。人間自身が人を恐れさせることもある

 ▼暖冬とはいえ、日の入りを待ちかねたように忍び寄る寒さも身に染みる。暖房機器がフル稼働する時期だが県内では火災による死者が相次ぎ、多くが高齢者に集中する。気を引き締めなければならない年の瀬でもある。