【1月3日付編集日記】受験シーズン

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 山形・米沢に生まれ、幕末から明治維新にかけた混乱期にその名を知られた志士、雲井龍雄。藤沢周平の「雲奔(はし)る 小説・雲井龍雄」はその生涯を描く

 ▼龍雄は幼い頃から勉学に優れ、江戸に出て学問を深めたという。戊辰戦争が起きると、会津藩をはじめとする旧幕府勢力のために奔走したが、戦後も薩摩・長州を中心とした新政府に対して信念を貫き、刑死する

 ▼小説では、日本の将来を見定めながら自分の信念や理想を貫こうとする青年像が描かれている。この中で江戸に出ることになった龍雄に友人が論語の「六言(りくげん)の六蔽(りくへい)」を挙げて忠告しようとする場面がある。六言は人が守るべき仁や知、信などの徳。蔽はその害のこと

 ▼たとえば、「真っすぐなのを好んでも学問を好まないと、その害として窮屈になる。勇気を好んでも学問を好まないと、その害として乱暴になる...」(金谷治訳注・岩波文庫)。学問の本質を説いたものだという

 ▼そろそろ受験シーズン。入試は次のステップへと学問を深めるための関門だ。藤沢は、大きな時代の波の中で日本の将来を見据えて行動した龍雄に優しい。今の時代の波も決して小さくはない。学問とは、そんな問いも忘れるわけにはいかない。