【1月7日付編集日記】磐城平城

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 いわき市の最北端にある川前地区の県道脇に、歌碑がひっそりと立っている。「志(し)ばしとて 雨宿りせむ かひぞなく こころもぬるる 山毛欅(ぶな)の下かげ」

 ▼詠んだのは、旧磐城平藩主だった安藤信正だ。徳川幕府老中を務めた信正は、公家と武家が協力して政治を行う「公武合体」政策を推進したり、プロイセン王国(現ドイツ)との日普修好通商条約締結に尽力した傑物だった

 ▼しかし戊辰戦争で新政府軍と対立、居城としていた磐城平城は1868(慶応4)年7月に落城した。碑に刻まれた歌は、信正が仙台藩に逃れる途中、雨宿りをしたブナの木の下で詠んだという。信正の無念さがしのばれる

 ▼磐城平城に再びスポットが当たりそうだ。民有地となっている本丸跡地について、市が公有化に向けて検討に入った。跡地には現在も、堀や戊辰戦争の後に建てられた旧仮藩庁などが残る。昨年の大型観光企画では約20年ぶりに開放され、観光客2万人ほどが訪れた

 ▼市は本丸跡地を公有化した後、公園に整備したい考えだ。「城下町いわき」をPRすることで、観光振興と市街地活性化へとつながることが期待される。居城跡が地域復興のシンボルとなれば、信正の無念も晴れよう。