【1月30日付編集日記】お伽衆

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 戦国時代、武将の側近には、話し相手をするお伽衆(とぎしゅう)(お咄衆(はなししゅう))という一種の役職があった。経験豊富で話し上手な古老が務め武勇伝や自身の経験談を語ったという

 ▼ユーモラスな語りも得意で、お伽衆が書物にまとめた笑い話には、今日でも有名な落語の原話がいくつもある。このことから国文学者の故興津要氏は、お伽衆が現在の落語家の遠い先祖だと、著書「古典落語」に記している

 ▼乱世を生きる武将に「笑い」は必須だったのかもしれない。近年の研究では、ストレスを受けた人の体内ではアドレナリンなどのホルモンが放出され、免疫を高める細胞の働きを抑制。逆に笑うとその細胞が活性化される(藤田紘一郎著「笑う免疫学」)

 ▼この不思議な笑いの力を復興に生かす試みが県内で始まった。大手芸能プロダクション吉本興業の拠点「福島よしもと」が郡山市にオープン。住民参加のお笑いライブをはじめ、さまざまな県内の情報をネット配信し、風評払拭(ふっしょく)を目指すという

 ▼同時に地域の人々が集い、一緒に語り合える場所になればと同社の大崎洋社長は言う。震災から5年。今も、腹の底から笑えない人は少なくないだろう。だが、そんな人にこそ笑顔の力が届けばと思う。