【1月31日付編集日記】白居易

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 枕草子に「書は文集。文選。新賦。五帝本紀...」とある。文集は中国・唐の時代の詩人、白居易の詩文集「白氏文集」のこと

 ▼徒然草には灯(ともしび)の下で書物を広げ、それらを書き残した昔の人を友とすることこそ心が慰められる思いがするという段がある。その書物の一つにも「白氏文集」が挙がる。中国の詩集で、白居易ほど日本文学に影響を与えたものはないという

 ▼白居易は天子の側近として活躍した唐王朝の大官僚でもあった。その道を開いたのは、随の時代から清の時代の晩年まで約1300年間も続いた高級官僚の資格試験「科挙」だった(下定雅弘著「白居易と柳宗元混迷の世に生の讃歌を」)

 ▼この制度は過酷なものだったというが、振るい落とすためのものであれば、どんな試験にもそれぞれの厳しさがある。街にも受験生らしい姿が目立ってきた。試験の季節はとうの昔に過ぎ去った身だが、当時の緊張や不安が蘇(よみがえ)ることもある

 ▼白居易は自然の美、食、音楽など人として経験できる喜びを味わい尽くした。仕事も自分の時間も大切と言い切り、両面での充足を求め続けたという。一人でも多くそんな人生を送れたらいい、と生き方を決めることにもなる試練の季節に思う。