【2月4日付編集日記】立春

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 「袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」。立春の日、紀貫之が詠んだ歌という。古今和歌集に収録されている

 ▼夏には袖をぬらしてすくった水が、冬の寒さで凍っている。それをきょうの春風が解かしているのだろうか―。水の様子に四季の移り変わりを重ねた歌からは、春を迎えた喜びが伝わる。暦の上では、きょうから春。厳しい寒さは続くが、立春以降の寒気は「余寒」とも呼ばれる

 ▼氷の上には、春の花々のような笑顔が咲いていた。東京電力福島第1原発事故で避難区域に指定されている川俣町山木屋地区の「田んぼリンク」が先月末、5年ぶりに再開した。本紙に載った写真からは、スケートを楽しむ子どもたちの歓声が聞こえてきそうだ

 ▼リンク復活に向け、関係者らは夜間に水をまき、整氷作業を続けてきた。かつてスケートの国体選手も育ったリンクは、地元のシンボルであり、誇りでもある。いま、ここで滑る子どもたちは、復興の担い手となるだろう

 ▼故郷によみがえったリンクに、たくさんの子どもの笑顔があふれるよう願う。それが復興への大きな推進力となる。リンクを凍らせるためだと考えれば、少しぐらいの余寒は我慢できそうだ。