【2月9日付編集日記】遠野和紙

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 古くから暮らしに根付いてきた伝統技術は、先人の知恵の結集だ。例えば、かやぶき屋根。夏は涼しく、冬は囲炉裏(いろり)で火をたいて暖まることで、屋根が煙でいぶされて耐久性が向上し虫よけにもなる

 ▼福島市民家園で開かれた、かやぶき屋根のふき替え見学会で職人の説明に大勢の市民が聞き入っていた。県内では下郷町の大内宿や南会津町の前沢曲家集落などに、かやぶきの家並みが残る。職人は「歴史的な景観を守るには、ふき替え技術の継承が重要だ」と話す

 ▼いわき市遠野町で、伝統工芸品「遠野和紙」の技術継承が進む。遠野和紙は、地元産のコウゾを原料に用い、冬場に手すきで作られる。約400年の歴史があるとされ、江戸時代には武家の記録用紙などにも重宝されたという

 ▼技術の習得に励むのは県外から移住してきた男女2人だ。市内唯一の和紙職人が亡くなったため、市が行った後継者育成の公募に手を挙げた。制作には難しい紙すき技術を要するが、前向きに取り組む2人が頼もしい 

 ▼遠野和紙は歳月を経ても変色しにくいのが特徴で、地元の学校では卒業証書にも使われる。気候や風土と深く結び付きながら受け継がれてきた伝統技術。その良さを再認識したい。