【2月12日付編集日記】リンゴ

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 厳寒の中、秋の豊かな実りに向けたリンゴの枝の剪定(せんてい)。その作業を行う果樹農家の写真が先日の本紙に載っていた。味を支えるために欠かせない仕事だ

 ▼リンゴの原産地は中央アジアのカザフスタン共和国と考えられている。その土地には農作物の祖先とみられる多くの植物があり、温帯で栽培される果物の90%が含まれる(「リンゴの歴史」原書房)。今のすべてのリンゴはその子孫という

 ▼豊富に実を付け、食べては美味。保存が利き、輸送しやすいこともあって世界に広まった。ヨーロッパなどでは、そのまま食べるより、発酵酒(シードル)にした。水よりも安全な飲料としてよく飲まれたそうだ

 ▼遥(はる)かな旅を経てリンゴは日本列島に根を下ろし、果樹王国・福島を支える品目の一つとなった。特に地域ごとに気候や風土が異なる本県では、それらの特徴を生かした技術で多様な味を楽しむことができるという

 ▼環太平洋連携協定(TPP)の影響も気になるが、"飲むリンゴ"など地域活性化を目指した新商品開発も進む。世界の神話や民間伝承、芸術面でも"主役"を演じてきたリンゴは「創造力の源」とも言えるそうだ。この力と味を支える努力で産地間競争を勝ち抜きたい。