【2月17日付編集日記】日本遺産

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 舟に乗って湖心にかかると前方に岩が見えた。実は岩と思ったのは湖の主である"大赤亀"。こんな伝承が「猪苗代湖畔の民話」(猪苗代湖南民俗研究所発行)に収録されている

 ▼夜の湖で必死にボートをこいだことがあった。浜に戻る予定時刻を大幅に過ぎてしまったからだ。湖の近くで生まれ育った身には耳になじんだ言い伝えだったが、そんな時"大赤亀"は現実味をもって迫ってきた

 ▼湖は古くから漁業、水上交通、農業など住民の暮らしに密接に関わってきた。さらに人々は豊かな水を引いて広大な安積原野をうるおそうと考えた。明治になってようやく実現させたのが安積疏水だ。今の郡山地方発展の原動力ともなった

 ▼安積疏水事業では設計に関与した技師との縁で海を越えたオランダとの交流も続けられている。県は郡山市と猪苗代町の「猪苗代湖を中心とした安積開拓・安積疏水開削事業」を文化庁の「日本遺産」に申請した

 ▼初回の選に漏れた会津17市町村による「仏都会津」も再度申請した。東京五輪効果による外国人観光客の増加も見込まれるが、認定は地域にとっては先人たちの歴史の物語を見詰め直す好機でもある。未来に向けた新たな物語の始まりともなる。