【2月18日付編集日記】老人ホーム転落死事件

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 100歳を超えて医師として活躍している日野原重明さんは、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんとの対談集の中で「みとり」についてこう述べている。「愛する人を上手に送ることができれば、亡くなったあとの悲嘆の時期も短くなる」

 ▼日野原さんは、互いに感謝を伝える最期の会話が大切で、そこから「癒やしという奇跡が生まれる」という。その上で、医療に従事する者は、患者や家族の気持ちに配慮できる感性の高い人間でなければならないと指摘する。それは介護の現場にも当てはまるだろう

 ▼家族に最期の言葉を伝えることもできなかったお年寄りたちの無念は、いかばかりだっただろうか。川崎市の老人ホームで入所者が転落死した事件で、元職員の男が殺人容疑で逮捕された

 ▼転落死した入所者は3人に上る。しかも2カ月間という短期間に転落が相次いだ。3件とも深夜から未明の当直態勢時に発生し、逮捕された男だけがいずれの時間帯にも勤務していたことが、これまでの捜査で判明している

 ▼犯行の動機や背景など全容解明が待たれるが、この男には人を思いやる気持ちがなかったのかと、暗たんたる気持ちにさせられる。いまは亡くなった3人の冥福を祈るしかない。