【2月20日付編集日記】宮本百合子

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 郡山ゆかりの作家宮本百合子が、1916(大正5)年、小説「貧しき人々の群」を発表してから今年で100周年。当時17歳の百合子が描いた開拓農民たちの厳しい実情は大きな反響を呼んだという

 ▼百合子の祖父は「安積開拓の父」といわれる中條政恒。小説のモデルは、幼少時代に百合子が過ごした安積開拓の農村。小説を読み返すと、いまの郡山の発展が先人たちの苦労の上にあることに思いが及ぶ

 ▼政府の東京五輪ホストタウン構想で郡山市がオランダと提携することが決まったのは、約140年前、オランダ人技師のファン・ドールンが安積疏水の設計に尽力した歴史があってのこと

 ▼疏水は農村を潤し、郡山の産業の礎を積み重ねてきた。先日は「猪苗代湖を中心にした安積開拓・安積疏水による発展の歴史」が、文化庁の認定する「日本遺産」に申請された。明治初期から先人たちが苦難を乗り越えて築き上げてきた郡山の歴史の価値が脚光を浴びる期待が高まる

 ▼百合子は小説の一節に、「私は私の道を、ただ一生懸命に、命の限り進んで行くほかないのでございます」と書いた。貧しい開拓農民と真摯(しんし)に向き合った思想は、安積開拓の貴重な歴史の一端を物語っている。