【2月28日付編集日記】悲しみ

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 天皇から庶民まで当時の人たちの生活と喜怒哀楽が詠み込まれた日本最古の歌集「万葉集」。遥かな時を越え、私たちの心を揺さぶるものも少なくない

 ▼「世の中は空しきものと知る時し、いよよますます悲しかりけり」という歌もその一つと思う。それまで文字を持たなかった当時の人々は大陸から伝来した漢字を借りて自分たちの話し言葉を文字にするようになった。この歌はその「万葉仮名」で表記されたという

 ▼世の中が空しいものと知った、それを知るにつけ、悲しみが増すという。気付いてしまった悲しみ。しかも日ごとに深まってゆく。さまざまな悩みを抱える現代人にも通じていよう。震災がさらにその様相を深刻化させているのではないか

 ▼発生から間もなく5年だが、避難者が誰にも見取られることなく孤独死するというやりきれない現実がある。避難生活の長期化や復興公営住宅などへの住み替えが進むに伴って、仮設住宅に住む避難者の"取り残され感"が強くなっている

 ▼孤立化を防ぐには避難者の思いを受け止める仕組みが必要だが、相談員は不足しているという。見守り態勢の強化が急がれる。悲しみがますます増してしまうようなことがあってはならない。