【3月2日付編集日記】節句と津波

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 東北地方太平洋岸を襲った明治三陸大津波は1896(明治29)年6月15日に起きている。旧暦の5月5日にあたり、端午の節句の祝いが行われていた

 ▼加えて前年末に日清戦争が終結したことで凱旋(がいせん)した兵士たちの慰労会を開いていた集落もあったという。祝宴を中断することへのためらいが被害拡大を招いた要因ともなった(外川淳著「天災と復興の日本史」)

 ▼昭和三陸大津波が発生したのは1933(昭和8)年3月3日の未明。この日も健やかな成長を願う桃の節句だった。またも、祝いの日に多くの人命が失われた。自然災害は非情にも私たちから大切なものを奪う

 ▼これからも、津波は日本の近海、あるいは遠く離れた海のかなたで起きると覚悟しておかなければならない。その中には、被害がなかったり、出たとしても軽微なものといったこともあるかもしれないが、それを油断につなげてはならない

 ▼5年前の大震災で、その恐ろしさを子から孫へと語り継ぐことの大切さをあらためて思い知らされた。一方で年月の経過に伴う"記憶の風化"も懸念されている。大震災の経験と教訓を後世に伝えていくことが命と地域を守る。そのリレーを次世代につなぎ、生かしたい。