【3月6日付編集日記】文字文化

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はるか昔の日本人は、文字というものを知らなかった。そんな時代が長く続いた。中国から漢字が導入されたことでようやく文字社会が始まったという

 ▼古代中国の歴史書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」には「東南陸行五百里にして伊都国(いとこく)に至る」と記されている。その伊都国の都だったとされるのが福岡県糸島市の三雲(みくも)・井原(いわら)遺跡。そこから弥生時代のものとみられる国内最古級のすずりの破片が出土した

 ▼すずりは渡来人が持ち込んだとも考えられ、日本の文字文化はこの地から始まった可能性があるそうだ。人々が広く文字を使いこなすようになったのは7世紀末から8世紀。「万葉集」がつくられた時代だという

 ▼今はさまざまな印刷文字が使われるようになった。一方、手書きには「とめ」や「はね」などに微妙な違いも見られる。どれが正しく、間違いなのか判断が分かれるようになった事態に対応するため文化審議会は細かい違いがあっても構わないという指針をまとめた

 ▼万葉の時代から約1300年。文字には先人たちの知恵と工夫が込められている。一字にも時の流れが息づくと思えば気も引き締まる。手書きの"美しさ、味わい"といったものはそんな心持ちから生まれるのだろう。