【3月9日付編集日記】希望の道

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 深い山はまだ雪に覆われていた。目の前の尾根へと歩みを進めたかったが、その間にある大きな裂け目が行く手を遮っていた

 ▼例年のこの時期ならば厚い雪の下に隠れている沢だった。雪で覆われていたら越えることは容易だったのに、早くも顔をのぞかせていた。暖冬の影響なのだろうか。雪解けも進んでいるらしく流れも速そうだった

 ▼たどり着いた雪原には大きなくぼみができ、湿地が姿を現していた。さまざまな形の足跡がくぼみに向かって続き、湿地の周囲を幾重にも巡る。動物たちが水を求めてやってきたのだろうか。早い春の訪れに動きも活発になってきたようだ

 ▼大震災と原発事故が起きてから何度も巡ってきた春だ。大きな痛手を受けた県民は、あの日から希望を抱きながら復興への一歩を踏み出した。この季節を迎えるたび未曽有の災害からの再生の加速化を誓ってきたが、思うように進まないと感じている人も少なくない

 ▼原発事故に伴う避難指示が解除された地域の復興にしても、いまだその途上でしかなく、歩みはなかなかはかどらない。そんなもどかしさが募るが、一人、一人の道は細くても、みんなでたどればやがて大きく、しっかりとした道になるはずだ。