【3月11日付編集日記】3.11

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 「時は流れる」という。過去から現在に至り、未来へと続く。その意味では私たちは流れる時間の中で生きていることになる

 ▼人にとって過ぎ去った時間は経験の積み重ねで経験は記憶といえるだろうか。その記憶は時がたつにつれて薄れていく。ついには消え去ってしまうものも多いが、一口に記憶といっても持続の仕方などでいくつかの種類に分類されるそうだ

 ▼覚えたばかりの電話番号をすぐ忘れてしまうような「短期記憶」もあれば、なかなか忘れられない「長期記憶」もある。そのうち、過去の一定の日付との対応で出来事として覚えていることを「エピソード記憶」というそうだ(中島義道著「『時間』を哲学する」)

 ▼県民にとって癒やしがたい経験となった巨大地震による大津波と原発事故から5年。消し去ってしまいたい記憶も少なくないが、自然災害への備え、科学技術への過信という教訓は忘れてならない。多大の犠牲を払って学んだつらい記憶だ

 ▼人類は記憶を確実に残そうと言葉や文字を思いついたという。悲劇を繰り返さないためには5年前の"記憶"をしっかりと未来に託さなければならない。ふるさと再生に向けた一歩をさらに積み重ねる力ともなるはず。