【4月7日付編集日記】ヒメマス漁

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 金山町の沼沢湖には、雌の大蛇がすんでいたという伝説がある。大蛇は、畑の作物を食い荒らしたり、住民に危害を加えていた。そこで会津の領主だった佐原十郎義連(さわらじゅうろうよしつら)が退治に乗り出した。一度は大蛇にのみ込まれながらも、義連は大蛇の腹を切り裂き、征伐に成功したという

 ▼湖を囲むように自生するブナやミズナラの木々が鏡のような水面に映し出される。四季折々にさまざまな表情を見せる沼沢湖には、大蛇伝説を思い起こさせるような神秘的な雰囲気が漂う

 ▼震災前、その金山町を訪れたことがある。思い出すのは沼沢湖の風景と、民宿で食べたヒメマスの塩焼きだ。ヒメマスは淡水魚だが、海から遡上するベニザケと同じだ。沼沢湖は県内唯一のヒメマス生息域で、約100年前に放流が始まった

 ▼原発事故の影響で自粛されていたヒメマス漁が9日、4年ぶりに再開される。あの脂が乗ったヒメマスを再び味わえると思うと、うれしくなる。この日を待ち望んでいた太公望も多いだろう

 ▼漁の再開後も風評の払拭(ふっしょく)や販路の回復など課題はある。退治されたあと湖畔の神社にまつられた大蛇は沼の守り神となった。今も地域を見守っているに違いない。試練は必ず乗り越えられる。