【4月9日付編集日記】雪形

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 雪解けが進む春の晴れた日、仰ぎ見る山の斜面に浮かび上がる残雪の文様が雪形。吾妻小富士でウサギ、磐梯山ではキツネ、虚無僧の姿に見立てられる

 ▼今年は暖冬などのため、雪形の出現は早めだが、各地では昔から、農作業の開始を伝える自然のシグナルとして知られる。さらに、その雪形にちなんだ民話なども伝わる

 ▼吾妻小富士の麓、福島盆地の伝承ではトビにさらわれたウサギの親子が雪形=山の神となり、日照りに苦しむ村々に恵みの雨をもたらした。以来、ウサギの雪形の出現とともに種をまくという(梅宮茂「『種まき兎』の誕生」)

 ▼伝承は自然の変化をとらえた先人の知恵と、豊作を願う切実な心情を伝える。それほど先人は天候に苦労してきた。その後、人は農業技術の追究で自然の厳しさを乗り越えてきたが、現在の農業は市場の動きとも向き合わなければならない

 ▼全国農業協同組合連合会(JA全農)が環太平洋連携協定(TPP)の発効などをにらみ、輸出用のコメ産地育成の方針を打ち出した。本県も、海外で売れるコメの産地として期待される。苦難を克服するため、自然のシグナルを見つけ出した先人たちと同様、現地を知る努力が必要になりそうだ。