【4月21日付編集日記】松川浦

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 うららかな春空の下、水で服がぬれるのも構わずにはしゃぐ子どもたちと潮干狩りを楽しんだ。採れたアサリは身がぷりっとしていて、みそ汁にすると格別の味だった。東日本大震災の数年前、相馬市の松川浦での思い出だ

 ▼市内を流れる宇多川と小泉川の河口に開けた松川浦。海水と淡水が混じる汽水域で、県内唯一のアサリの産地だ。春から夏にかけての潮干狩りシーズンは約3万人でにぎわっていた。しかし、震災と原発事故で、アサリ漁は自粛を強いられた

 ▼その松川浦の味覚が復活に向けて動きだした。きのう、6年ぶりにアサリ漁が再開した。当面は、水揚げ量を制限しての漁となるが、漁業復興に向けた大きな一歩ととらえたい

 ▼気になるのは潮干狩りの再開だが、津波で干潟の地形が変化したことなどから、現在のところは具体的な見通しが立っていないという。ただ、相馬双葉漁協の担当者は「アサリ漁の再開が、突破口の一つになれば」と期待感をにじませる

 ▼古くは万葉集にも詠まれ、日本百景にも選ばれたほど風光明媚(めいび)な松川浦。その美しい景色は、訪れた人たちの大切な思い出の一ページを彩ってきた。再び大きな歓声が干潟に響き渡る日が来るのを待ちわびる。