【4月25日付編集日記】土湯讃歌

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 吾妻の山並みに抱かれる福島市の土湯温泉。その四季の情景をつづった「土湯讃歌(さんか)」が、NHKの「みんなの歌」で放送されたのが1980(昭和55)年。さとう宗幸さんの郷愁を誘う歌声が人気を博した

 ▼作詞したのが故岩田唯男さん。NHKのカメラマンだった。昭和50年代前半を福島放送局で過ごし、取材のファインダー越しに知った土湯の自然の素晴らしさを心に浮かぶままに表した

 ▼岩田さんは異動後も、退職して故郷の徳島市に戻ってからもたびたび土湯を訪れた。20時間以上かけて車できたこともあったが、昨年末に81歳で亡くなった。岩田さんを引きつけたのは土湯に友の存在もあったから。川上温泉館主阿部義輔さんがその友、一緒に土湯の山を歩いた仲だ

 ▼阿部さんは岩田さんが福島を離れてから、春夏秋冬の4番の歌詞をそれぞれ刻む碑の建立を始めた。岩田さんが愛してやまなかった土湯の自然を守っていこうという決意からだ

 ▼最初の碑ができたのは94年。それから20年がたち先日、ようやく最後の碑の完成にこぎつけた。「岩田さんにはずいぶん土湯の宣伝をしてもらった。やっと、恩返しができたかな」と阿部さん。碑には年月を超えた絆の深さも刻まれる。