【4月26日付編集日記】須賀川牡丹園250年

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 作家・吉川英治の小説「宮本武蔵」の中に、武蔵が牡丹(ぼたん)の古株を燃やしてたき火を楽しむシーンがある。よい香りを漂わせながら部屋を暖める炎に、吉川は「生きている間の花は咲かせても、死してから後までこの牡丹の薪(まき)ぐらい真価を持っている人間はどれほどありましょうか」と登場人物に語らせる

 ▼吉川が須賀川市の須賀川牡丹園を訪れた際、牡丹のたき火でもてなしてもらったことがこの場面を描いた背景にあるという。吉川は「須賀川の牡丹の偉大なるは恐らく東洋一であらうか」とも記した。園内を見て、大きな感銘を受けたようだ

 ▼同園は1766(明和3)年、薬種商を営んでいた伊藤祐倫(ゆうりん)が牡丹の根を薬用にしようと摂津国(現兵庫県宝塚市)から苗木を取り寄せ、栽培したのが始まりとされる。今年、250年の節目を迎えた

 ▼今シーズンの有料開園は28日。同園によると、例年より5日から1週間ほど開花が早まりそうでゴールデンウイークが見ごろだという。290種、7千株の牡丹が園内を彩るのは間もなくだ

 ▼「花の王」とも称される牡丹。その気品あふれる美しさは、今も昔も人々を魅了してきた。長年大切に育てられてきた花の真価を、今年も堪能したい。